目からうろこのシューケアグッズ

ステイン リムーバー
 英国製の液体タイプのクリーナーのサンプルが届いた。
 液体?真っ先に“シミ”が頭をよぎったが、恐る恐る使用してびっくり。あのうす汚れた靴が洗われたようにスッキりし、靴がいかにも「気持ちイ〜ッ」と言っている感じがしたのだ。「凄い!!」まさにカルチャ一ショックであった。
 これでクリーナーに対するイライラも一気に吹き飛んでしまった。汚れは落ちる、塩は落ちる、シミにならない、靴クリ一ムのしみ込みや、通気性も良くなる。他にもチューブのクリーナ一やロ一ションタイプ(つや出し剤配合)にはない良さが数え切れないくらいたくさんあるのだ。これなら靴の手入れも楽しくなること請け合い。

クリーナーのお話

 靴の手入れがうまくゆくかどうかは、汚れが落ちるかどうかで80%決まる…と言っても過言ではない。さて、“靴の汚れ落とし”と言えば「アッ、あのチューブ入りのクリ−ナーか」と誰でも思い浮かぶほど、日本ではポピュラーな製品になっている。

 だが、このようなタイプのクリーナーを欧米で見かけないのは何故だろう?当社広報部でその理由を調ぺたところ、意外や業界で60代以上の人たちなら、かなりの人たちが知っていた。それほど古いことではないらしい!

それは、昭和30年代にさかのばる。当時「ハンドクり一ナー」という他業界でつくられた、アンモニア臭いチューブ入りのクリーナーが全盛を誇っていた。もともとは、工場などで手に付着した機械油などを落とすクリーナーをそのまま靴に転用したというわけ。当時の道路事情がかなり悪かったせいもあるだろう。これが売れに売れていた。クリーナーといえば「ハンドクリーナー」を指していた。その後、靴クリームメーカーが同じ様なクリーナーを作ったが、売れるようになるまでは「○○メーカーのハンドクリーナー」と呼ばれ靴クり一ナーの代名詞であったのだ。そして、第一期プーツブームの頃「ハンドクリーナー」はすっかり、靴クリームメーカーのものに取って代わられていた。

 その時、業界を震撼させる大事件が起きた。アニリンカーフというこわ〜い素材が出回り始めたのだ。クリーナーは最悪の事態に見舞われた。「クり一ナーを使ったらシミになった。色が落ちた。」と全国で火の手が上がってしまったのだ。その尻ぬぐいは、靴メーカーが負わねばならなかった。
 そして、靴クリームメーカーが、対策と原因究明で悪戦苦闘の結果ついに完成させたのが「中性クリ一ナー」であった。つまり、従来のクリーナー(アルカり性)は汚れが落ちすざる。酸性にすれば安全だが何の効果もない。そこで、必然的に「中性」になったのだ。かくして、両極の中間をとった、汚れがほとんど落ちない「中性クリーナー」があっという間に全国を制覇した。そして更に欲張って、ワックスを加え、ツヤまで出るようになり便利になった。こうなるとクリーナーか靴クリ一ムかわからない。汚れはますます落ちなくなっている。【だから、−般の消費者に「靴クリーナーって汚れが全然落ちないね」と言われてしまうのだ】

とにかく、これでは、靴の手入れも興味がわかないし、靴(革)が好きになるチャンスも失われ、業界にとって不幸なことである。あくまで、クリーナーの仕事は汚れを落とすことなのだ。汚れとは、靴Lの表面に付着している諸々で、仕上げ剤だってそのひとつ。へばりついた古い靴墨も、通気性を大切にする皮革にとっては、すぺて皮膚の垢と同じなのである。こう考えると、「クリーナーが無難である」ということの愚かさに気づき、クり一ナー選ぴの大切さがおわかりいただけると思います。

 

デリケートクリーム


 デリケートクリームを、買ってきたばかりの革靴に塗った。革にスーッと しみ込んで、みるみるうちに皮革の潤いが蘇っていく感じがした。
  新品の靴 であったが、長い間、店頭でさらされ皮革そのものが乾燥していたのであろう。たとえるなら、「水がない砂漠を数日間さまよっていた人が、オアシ スで水を見つけてごくごく飲んでいる。」
  デリケートクリームは、そんな皮革の生命線みたいな商品なのだ。
  また、靴だけでなく皮革製品全般に使用でき、使用後の何ともいえないしっとり感はデリケートクリームならではである。
 他のメーカーで「デリケートクリームを真似した製品はできるが、同じ物はできない」と言っていたのを聞いたことがあるが、使用後は、しみじみとその言葉を実感する。

しっとりとよみがえった靴を実感できます。

 超ベストセラー商品のデリケートクリーム。初めて輸入されたのは、もう25年も前のことです。
  一方のメルトニアン・シュークリームの方は、品 質はもちろん、古き良き時代の英国紳士を代表するような雰囲気を持つ商品であったので、早くからオールドファンに支えられ、一定の地位を築いていま した。

 デリケートクリームの白いブリキのキャップやガラスビンは、その流れを汲むものでしたが、ライトブルーの横ラベルには、白抜きのシンプルで清楚な花があしらわれていました(初代)。

 そして期待に胸をときめかせながら、白いキャップをゆっくり回して開けてみると、さわやかな香りがほんのりと漂い始め、半透明のやわらかなゼリー状クリームが内ブタに引っ張 られるように「とろ〜っ」と伸びてきました。
 
「食べてしまいたい!」そ う思うほどでした。そしてこんなクリームがあるなら、外国にはもっと珍し いものがいっぱいあるに違いない(その通りでしたが・・・)と期待で胸をワクワクさせてくれた一品でありました。

 用途は、ソフトレザー用で、靴、バッグ、家具や小物、レザー衣料に車のシ ート等。素材はアニリンカーフ、ヌメ、シープスキン、ピッグスキン、ペ ッカリー、オーストリチまで、スウェードを除くほとんどのレザーに、損傷なく使用できます。

  ちょっと待ってください。万能ということは、他のクリームは不要ということではありませんか。どんな革でも大丈夫ということは、中途半端なものがでてくるはずです。検証してみましょう。

<特長>
 ・シミにならない→油分が強くない
 ・色落ちが少ない→中性である
 ・衣服に付かない→表面に蝋分がない
 ・素材を引き立てる→浸透性があり厚塗りにならない

  こうしてみると、やはりソフトレザー用なのであります。蝋分という、表面に付着するものがないので、革シボ(表面の凸凹)の多いソフトレザーには、特別なチャは不要ですから、柔軟性と栄養を与えてやれば、素材そのものをよ り良く生かすことに なります。
 仮にソフトレザーに蝋分の多いクリームを塗ったら、革シボを埋めてしまい、光沢が出過ぎてソフト感が失われます。
 逆に光沢の必要な革靴にデリケートクリームを塗っても、蝋分がなければ、ツヤもイマイチ、表面保護にモノ足りなさを感じてしまいます。

 クリームの特長を知り、使い分けをすることにより、美しいレザーは素材の良さをより引き立たせ、最高のおしゃれを演出してくれるでしょう。
  〃素材を生かす〃これがすべての商品に科せられた使命なのです。

 

WOLY ワックスカラー クラシック

「これ、何とかなりませんか?」 あるお客様がコードヴァン(バーガンディ色)も チャッカブーツを持ってこられた。 見ればコードヴァン独特のすばらしいツヤは完全に消え失せ、古くなったコードヴァンにありがちな黒ずみが全体に!
お手入れはほとんどしたことがないとのこと。
家にあったクリーナーを使ってみたがきれいなツヤは蘇らず途方にくれていたそうです。
そこで伝家の宝刀「ステインリムーバー」を少量布に馴染ませ全体を軽く拭く。乾燥したコードヴァンが潤いながら汚れを瞬く間に落としていく。 そして本邦初公開の「ワックスカラークラシック」という商品の登場です。
これはコードヴァンに最適な保革、ツヤ出しクリームで、 特殊なカラーワックス分がコードヴァン本来のすばらしい色彩と明るさを取り戻してくれるのです。 付属のスポンジで靴全体に薄く伸ばしホースブラシでなじませる。
最後は布で磨きを 掛ければ、 あのすばあらしいバーガンディ色が蘇ります。


コードヴァン専用クリーム


コードヴァン(Cordovan)はヤギの革です・・・・と答えたら、皆さんはどう思います?実は本当なんですよ。
辞書(大辞林)にはこう書いてあります。 「スペインのコルドバ産のヤギ皮で製した、ツヤのあるなめし革。 またこれに似せた馬の背、尻からとったまめし革。靴、ベルトなどを作る(全文)」

本当はどうあれ、あの素晴らしい光沢はそんな事実を凌駕してしまっているでしょ う。
現在流通しているコードヴァンは、馬革の尻部の中でも特に繊維組織の高密度の厚い 部分(貝の形をしているのでシェルという)をタンニンで 長い時間を掛けてなめし、天然油脂と染料でじっくりと仕上げツヤを出したものです。
この高密度のシェル部は、革の繊維組織の断面のほぼ中心部、ぎん面と裏面の中ほど にあるため、シェル部が表面に現れるまで裏面を削ってから、 この部分を磨きこみます。従って光っていても革の裏面が表に現れているのです。表 面には表皮がありませんので、 ”銀浮き(ウォータースポット)という”現象は起きません。
また、引っかきよって筋(溝)はできますが、めくれるにはがれることはないのです。 これは他の革の繊維組織が横に流れるように重なっているのに対し、コードヴァンは 超高密度の繊維組織が縦に並んでいるからなんです。
そして牛革よりもはるかに丈夫で型崩れも少ない。さらに美しいツヤと、馬1頭から 靴1足半から2足分しか取れないとなれば ”KING OF LEATHER”として人気が高いのは当然でしょう。
さてお手入れですが、こんな神秘的で特殊な革でも、基本的には普通の牛革と同じで よいのです。
汚れてきますと輝きがなくなりますから「ステインリムーバー」も使ってください。
靴クリームも乳化性を使うことにより適度な水分や油分を与えます。 同色が基本ですが、それだけでは色が濃くなりがちですので、最初のうちはアニリン 用クリームから使い始めるのが 無難です。(タンニンなめしのアニリン調牛革でもそうですね) そして、ツヤがなくなってきた、黒ずんできた、こんな時に「 WOLY ワックスカラー クラシック」の出番。 色を蘇らせ、ツヤを与えます。
色は”ブラック”と”ボルドー”の潔く2色。
磨き方のコツはQ&A「お手入れ編」もご参照ください。